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一般社団法人 ディレクトフォース

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 2019/7/1(No296)

楽しき哉!スキューバダイビング

佐藤 眞樹

筆者

3月に1週間モルジブにダイビングに行って来た。モルジブは東西118km、南北754kmの海域に26もの環礁があり、各々に素晴らしいダイビングスポットがあるので、良いとこ取りをするために、「プリンセス・ハッシーナ号」というクルーズ船に乗って、各地のスポットを回って楽しんで来た。モルジブは今まで潜った中で最高のダイビングスポットの一つと言っても良い。もう百回近くも通っている猛者も居る程である。

ジンベイザメ、マンタ、シャーク、ウミガメ、ローニンアジ、イソマグロ、マダラトビエイなどの比較的大物からサンゴ礁で群れ踊るカラフルなアカハナゴイ、辺りがパっと明るくなるような黄色の縦縞の美しいベンガルフエダイの群れ、岩の合間から沸き出して来る様なブルーと黄色の対比の鮮やかなパウダーブルーサージョンフィッシュの大群、日本では夢色もどきと称されるイエローバックフュージュラーなどと圧倒的に種類も多いし、魚影も濃い。

ジンベイザメはセブ島のオスロブで何度かお目にかかったが、そこでは毎朝、オキアミなどを漁師が海に撒き、餌を求めて何頭ものジンベイザメがやって来るのを眺めるやり方で、確実に見られるということで、最近は韓国、台湾からの観光客も多く、些か興醒めの感があるが、モルジブでは大海原を2日がかりで探し回り、やっと見つけるとゴーグルを着けて一斉に海に飛び込み、競争するように近くまで泳ぎ、その10メートルを超える甚平模様を捉えた瞬間、あっという間に海の彼方に消えてしまうという訳で、遭遇した時の喜びが違う。

マンタは通常は、クリーニングと言って海の中の大きな岩根の頂上でベラなどの小魚に体に付いた虫などを食べて貰うためにやって来るのを待ち伏せて見るのだが、今回は3畳から4畳半はある南洋マンタが目の前の岩根で2頭も一緒にかなり長い間ホバリングしており、荘厳さすら感じさせる、正に息を呑む眺めだった。特に小さめの1頭は時々定位置から泳ぎ出し、自分の直ぐ横を通って元の位置に戻るなど至近距離で動画も沢山撮れ、最高だった。
グレートバリアリーフで中層を真正面の方向から泳いで来て、私に気付き、右にゆっくりと旋回して行ったマンタに遭遇した時以来の興奮だった。

サメに会ったら怖いだろうと良く言われるが人間を襲うサメは500種程居るサメの中でホホジロサメやイタチザメ、オオメジロザメ、シュモクザメなど数種類に限られている。サメに襲われる確率は1億分の1位で、その6割が餌のアザラシなどと間違えられやすいサーファーと言われている。僕らが目にするサメはグレイリーフシャークやホワイトチップと言われる種類で、体長は優に3~4メーターはあるが、極めて用心深く、サメの方から近づいてくることはない。
深いドロップオフへの(きざはし)の崖っぷちにフックを掛けて強い流れに身を任せながら、凧の様に浮いている目の前を十数匹のグレイリーフシャークが次々に泳ぎ来たっては去って行くのは流石に恐怖感も手伝い、圧巻である。


2018年11月GBRツアーで(左から私 水口泰介さん 長谷川實さん)

私がダイビングを始めたのは丁度10年前の67歳の時。前から憧れていたが、始める切っ掛けがなかった。2度目にお世話になった会社の仕事も卒業し、先輩の薦めで入会したDIRECTFORCEに、スキューバ同好会があり、即入会した。
ダイビングをするにはPADIなどの国際認証機関の試験を受け、許可証を取らねばならないが、私の場合は同好会の仲間と行ったセブ島のダイブハウスで追加費用3万円で、2日半の実技訓練と座学で許可証を取得した。3日目の午後には仲間と一緒にスミロン島で初めてのダイビングを楽しむことが出来、海の中の美しさに完璧に魅了された。キラキラと輝く太陽の光が水を通して色とりどりのサンゴ礁の周りで群舞する赤や黄色の熱帯魚達を一層カラフルに際立たせ、正に竜宮城とはこのことかと思った。

それから毎年2~3回のペースで、3月と10月は暖かい海外、7月は沖縄と潜り続けて来た。伊豆や近海で潜る人たちも多いが、我々は薄いウエットスーツ(3mm)で潜れる暖かい海で且つ、重いタンクを背負って歩くビーチダイビングは避けて、ボートから飛び込めるやり方に拘って来た。

これまで23回のツアーで230回程潜った。沖縄に7回、セブ島に6回、パラオに5回の他、タヒチ、サイパン、タイ・シミラン諸島、オーストラリア・グレートバリアリーフやモルジブ等々。
ダイビングは大体1回当たり40~50分位を1日3回程度潜るのが普通である。深度は40メーターまで潜れる許可証は持っているが、普通は20メーター位まで。余り深いと太陽の光が届かず、赤色まで黒く見え、綺麗ではない。
我々の仲間は平均年齢が優に72歳を超えているので、体調が悪かったり、その気にならなかったら、その時は潜らないと言い切る勇気を大切にしている。「()める勇気」である。

セブ島・サンタンダールのルビ・リゾートは我々同好会メンバーの心のふるさとと言った場所で3人が許可証を取ったり、アップグレードをしたり、ホテルやダイブハウスのオーナーに大変お世話になったところ。マゼランが殺されたマクタン島で飛行機を降りてから何と4時間近く神風タクシーの確実に上を行くスピードとテクニックで町中や田舎のくねくね道を人やジムニー(3輪車のタクシー)を避けながらすっ飛ばしてやっと辿り着く。

ダイビングスポットの数は極めて多く、透明度も20メーター以上と美しく、サンゴ礁もとてもきれいで、ハナゴイやパープルビューテイ、ハナダイなどがとても美しい。近くにはマイワシの何万匹という大群が朝、深海からプランクトンを求めて一斉に上がって来るポイントもあり、遠くから見るとまるで真っ黒な竜が雲となって空をのたうち回っているようであり、その大群の中に飛び込んで行くと、銀色に光る鱗を一斉に光らせながら右へ左へと流れて行き、1匹1匹の顔まで良く見える。
ギンガメアジの群れを見たい時は走る双胴船の間に渡した竹竿に現地のスタッフが捕まり、ゴーグルを掛けて顔を水につけ、群れを直接探す言わば人間魚群探知機まで使って見せてくれる。その熱意が物凄く伝わって来る。

近くのオスロブではジンベイザメの群れがオキアミなどの餌を求めてやって来るのを利用して餌付けに成功、10メーター近くあるジンベイザメを簡単に海の中や上から見ることが出来る。

クマノミや多くの熱帯魚は〈オカマ〉だと知ったのもセブ島だった。群れの一番大きな個体が雌で、2番目に大きい個体が雄、他は予備軍。雌が死んだりして居なくなると雄だった個体が雌になり、予備軍の一番大きな個体が雄になり、種を保存するのだそうだ。

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水中ではカメラが手放せない タイマイ(海ガメ)を撮影中の私

セブ島の次に数多く行ったのはパラオである。日本から直行便で4時間。町の小さなホテルに泊まり、毎日ダイブハウスから高速ボートでいくつかのポイントに行き、潜るやり方と「竜馬」の様なクルーザーに乗って船の中に寝泊まりして潜るやり方があり、幸い両方のダイビングを楽しむ機会に恵まれた。パラオは戦争前は日本の委任統治領で、ペリリュー島の戦いで米軍の攻撃に日本軍は玉砕したが、島の人達をコロール島に全員避難させたことへの評価もあり、極めて親日的な国である。独立後、日系の大統領が3人も出たり、国旗も白地に赤丸に似せて太平洋の青地にお月さまの黄色い丸という具合。日本との時差もないし、平成天皇が慰霊に行かれたことも記憶に新しい。
コロール島付近ではジャーマンチャンネルでのマンタやブルーコーナーでのグレイリーフシャーク、ナポレオンフィッシュやバッファローフィッシュと異名を取るカンムリブダイなどの大物が楽しめる。流れの物凄く早いペリリュー島では、ダウンカレントに巻き込まれ死ぬかと思いながらも、バラフエダイの一斉産卵を見に行った。大潮の朝、何千匹ものバラフエダイが岩棚に集まり、突然、雌が海面に向かって泳ぎ出すと7~8匹の雄が追いかけ、産卵に併せ放精する。海が精液でミルク色に染まる様は美しかった。怖い顔をしたローニンアジの大群に遭遇したのには、圧倒された。
だが何と言ってもマイちゃんという魅力的なインストラクターが居たのが懐かしい。ナイスバディ―の色黒のキリっとした顔立ちの女の子で、たちまち我々のアイドルになった。70過ぎたお爺ちゃん達が現地の若者と結婚するという彼女をそれだけは止めろとか余計な口出しをし、翌年、桃太君という可愛い男の子が生まれれば、次に行った時に日本からの御菓子をお土産に持って行くなど、潜るだけではない楽しさもあった。皆一瞬、青春を取り戻すのかも知れない。

魚影が濃いという点ではタイのシミラン諸島の北、ミヤンマーに近いリチュリューロックというポイントではアカヒメジやローニンアジ、ギンガメアジなど余りに沢山の魚の群れが我々を取り囲み、魚と魚の間にやっと水が見えるという有様。またシミランは兎も角、ここだけには是非戻って来たいという思いが皆の共通の思いだった。リチュリューとはルイ13世に仕えた三銃士と対決する宰相リシュリューの英語読みで、紫色のソフトコーラル(生サンゴ)がロックを取り巻く様が紫色のマントを身にまとったリシュリューを彷彿とさせるということで付いた名前だそうだ。

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GBRツアーで 800本目のダイビングを達成した長谷川さん(中央)と水口さん(左)私(右)

昨年11月、我々の長年の夢だったオーストラリアのグレートバリアリーフ(GBR)でのダイダイビンが実現した。GBRはオーストラリアの北東岸2600キロにわたり連なる世界最大のサンゴ礁地帯で珊瑚海に在り、世界遺産にも登録されている。現在生育しているサンゴ群は最終氷期の最終期である約2万年前から生成が開始したとされている。今では1500種程度の魚が住んでおり、サンゴは何と400種が確認されている。

ケアンズからセスナ機でリザード島まで飛び、待機していた「Spirit of Freedom 号」という豪華クルーザーでアウターリーフの外まで行って潜った。見たもの全てが感動的だった。特にシャークフィードは圧巻だった。我々ダイバーが水深15m位に在る岩の上に腰かけて待っていると、マグロの頭を4個入れた鉄製のカゴが船から降りて来て、その匂いで何十匹というサメが集まり、カゴノ周りをグルグルと遠巻きにして泳ぎ回わる。おこぼれにあずかろうとするバラフエダイやたくさんの小魚がカゴの近くで待ち構える。インストラクターの一人がカゴの蓋を開けると同時に一斉にサメ達が餌を求めて競い合う様は圧巻だった。

タヒチツアーでは常日頃男達だけで勝手に出かけてしまうことにご不満だった奥様方もお誘いして新婚旅行のメッカであるボラボラ島まで出かけた。新婚さんに大人気の水上コッテージなるものも経験してみたり、本島の市場でのお祭りに参加したり、ゴーギャンの記念館に出掛け、役人としての彼の非道振りに呆れたりもした。

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第8回( 2011/11/28~12/05 )タヒチ・ボラボラ島ツアーの参加メンバー(奥方たちとホテル前で)

クルーザーで潜る場合は特にヨーロッパやアメリカから来るダイバー達と一緒に船上生活を送ることになり、他国の人達とのコミュニケーションが求められる。最後の晩などは欧米人はお酒を呑んで、歌ったり踊ったり大変な騒ぎだが、日本にはこんな時、皆で大合唱できる元気の出る歌が余りないのに気づき、美しい歌や、もの悲しい歌は沢山あるのに何故だろうなどと考えさせられた。中国本土から来た若夫婦と親しくなり、金持ちではないと主張する彼ら中国人庶民もダイビングに手を染める位、趣味も豊かになったのだなとつくづく感心した。

毎年夏には沖縄の慶良間、石垣や西表、久米島などで潜った。サンゴ礁は何処にも負けない位、色鮮やかで美しい。熱帯魚達は正に竜宮城を目の前に見せてくれ、石垣島ではマンタにも会える、粟国ではローニンアジやイソマグロの群にもお目にかかれる。ダイビングスポットとしては全く見劣りしない。次第に遠いところまで飛行機に乗るのがしんどく成る我々のお気に入りのスポットになること疑いない。

ダイビングは大変体力の要るスポーツと思われている様だが、手足の不自由な方や86歳のおじいちゃま、おばあちゃまにも出来る位、体力を使わないスポーツである。体の不自由な人には特に水の中は浮力もあり、むしろ体に優しいスポーツと言えよう。
水中で何処にも捕まらずに息遣いだけで 体を一寸浮かせたり、沈ませたりして、同じ位置を維持する、所謂、中性浮力を身に付けることが技術的ポイントで、体力はそんなに関係ない。空気の入ったボンベを担いでいるので呼吸は何も問題ないし、BCと呼ばれる浮袋みたいなものを体に巻き付けているので沈み始めたらボンベから空気を入れれば良いし、意に反して浮き上がり始めたら、逆に浮袋の空気を外に逃がしてやれば良く、それはボタン一つで操作可能である。
ボンベは結構重いが、腰の悪い人や力のない人はボンベを海に入ってから脱着すれば重い思いをしなくても済む。比島などはダイバーは何もしなくても全てスタッフがやってくれる殿様ダイビングを売りにしているところもある。

是非皆さんもダイビングに挑戦してみて下さい。今まで全く見たことがない美しい世界が貴方を待っています。正に楽しきかな!スキューバです。

今まで潜った動画をDFの先輩である三納さんに編集して貰い YouTube に投稿して来ました。今や10本以上になります。お暇な時に YouTube で「どこどこダイビング紀行」で検索するとご覧頂けます。

文章で長々と書きましたが、海の中の素晴らしさは書き尽くせません。百聞は一見に若かずです。題名と制作年を書いておきますので、是非動画をご覧下さい。エンドマーク

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  • パラオダイビング紀行 201320142016
  • 石垣島ダイビング紀行 2013
  • セブ島ダイビング紀行 201220132014
  • シミラン諸島ダイビング紀行 2018
  • グレートバリアリーフダイビング紀行 2018
  • モルジブダイビング紀行 (制作中) 2019

さとうまさき ディレクトフォース会員(566) 
 元元新日本製鉄  

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