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一般社団法人 ディレクトフォース

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 2018/8/16(No275)

「ボーダーツーリズムの魅力」

   旅の醍醐味「ガストロノミーウォーキング」のお誘い

伊豆 芳人

私

私は2016年3月にANA(全日空)グループを退社し、DFに入会と同時期に、ツーリズムアドバイザーという肩書を勝手に作り、ツーリズムでの活性化を目指す地方自治体や観光関係企業のお手伝いをさせていただいています。

ANA(全日空)グループでは40年近く旅行業に従事していました。航空会社で〈旅行業とは何だ!〉と思われるかも知れませんが、ご存じの通り、航空業界は規制が厳しい時代が長く続き、他の航空会社と差別化をしたい時、あるいは新しい路線の需要喚起をする時に、運賃などではなく旅行商品をその手段として使う時代がありました。JALパックが正にそうですね。

私はANA(全日空)グループにいましたので、社員時代は国内旅行・訪日旅行を担当しておりました。長く閑散期であった冬の北海道、太平洋戦争戦没者慰霊の団体旅行しかなかった沖縄を、スキー・マリンスポーツのメッカとして家族や個人旅行者が訪れる通年観光地にできたのは旅行商品での需要喚起の成果でした。

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宗谷岬の日本最北の地の碑の前で

2003年1月、時の小泉首相が「観光立国宣言」をして、観光が日本の重要な国家政策課題になりました。その後観光立国推進基本法が施行され、与野党全会一致で承認された「観光庁」が2008年10月に設立され、その政策推進は加速されました。

今は訪日旅行のことばかりが脚光を浴びていますが、観光立国宣言時の目標は訪日旅行者数2000万人(2003年当時は521万人)、日本人の海外旅行者数2000万人(2003年当時は1329万人)、合計で4000万人を目指そう、つまり交流大国になることが大きな目標でした。日本人の海外旅行者数は1789万人(2017年)まで増えましたが、目標には届いていません。一方、訪日旅行者数は2000万人をはるかに超えて2017年は2869万人、3000万人に手が届くところまで拡大しました。

訪日外国人は日本でお金を使ってくれますので、観光関連企業は真に“バラ色”‥‥。日本の課題である地方衰退も人口減も解決に向かう‥‥と思われるかも知れません。しかし、訪日旅行者の大多数は、3大都市圏(東京・名古屋・大阪)に集中し、これらの都市での宿泊人数シェアは59%、訪日外国人の使うお金の37%がショッピング代という現状では、日本の隅隅で訪日旅行者・日本人観光客で賑わっている、潤っているわけではありません。

この反省から、「もの消費」ではなく、訪れる観光客にお金を使っていただける「コト消費」へのシフト、つまり〈体験型プラン〉の整備が日本各地で急ピッチに行われています。

さて、本題の「ボーダーツーリズム」ですが、ここで言うボーダーとは国境のことで、国境・境界地域とは正に日本の「隅隅」の地域です。

海に囲まれた日本では海に国境線があり、その先に隣国があります。国境・境界地域は政治的な意味合いが強い“行き止まり”とされてきましたが、長い歴史で見ると、海外へのゲートウェイ、交流の窓口として多様な文化、風習などを受け入れた地、あるいはまだ見ぬ世界へ旅立つ日本人の出発の地でもありました。

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長崎県対馬から見た釜山の夜景 韓国釜山から見た対馬の島影

そこには魅力的な観光資源があり、隣国との交流による様々な「物語」が残されており、訪れる観光客の好奇心を刺激します。

長崎県対馬の韓国展望台からは、50km先の韓国釜山の町の灯りが見え、その近さを実感でき、対馬海峡を挟んでの日本と朝鮮半島との交流の歴史に思いをはせることもできます。

さらに高速船に乗れば1時間で到着する釜山の町では、逆に対馬の島影を見ることができ、日朝間の歴史的な出来事の解釈の違いを目の当たりにすることができます。

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沖縄県波照間島の
日本最南端の碑
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大瀬崎灯台 
長崎県五島市福江島

日本の最西端の与那国島などの八重山諸島にも台湾との交流がもたらした興味深い観光資源が残されています。また、今は東西南北の隅ではなくなっていますが、長崎県五島市福江島にある大瀬崎は遣隋使・遣隋使、空海らが大陸へ向かう時に見たであろう最後の祖国の風景とも言われ、そこに立つ大瀬崎灯台の美しさとともに五島観光の魅力的な物語となっています。

この魅力的な観光地である国境・境界地域を訪れ、さらに国境の先の隣国へ“渡る”という新しい旅の形を普及させよう、という目的で昨年7月に「ボーダーツーリズム推進協議会」を設立しました。

会員は国境・境界地域の自治体・観光関連会社及び北大・九大などの研究機関などで構成されており、セミナーの開催、モニターツアーの実施、自治体主催のイベントの応援などの活動が行われています。

私はこのような日本の隅隅の地域が観光客、訪日旅行者で活性化することこそ観光立国の究極の目標と信じて活動をしています。お陰様でメディアに取り上げられる機会も増え、毎日新聞日曜版ではコラム「旅するカモメ」が連載中、TBS人気番組「世界ふしぎ発見!」では八重山・台湾のボーダーツーリズムが放映されました(2018年8月4日)。

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宗谷岬間宮林蔵の立像とサハリンの島影

最後になりましたが、ボーダーツーリズムの北の舞台・稚内市で9月末に行われる、2つのイベントについてお伝えします。

それは稚内市が主催する、歴史作家・童門冬二さんの講演会(演題は「歴史から見た国境」)と、同じく稚内市主催の「ONSENガストロノミーウォーキング大会」です。ガストロノミーウォーキングは欧州で普及している旅のスタイルで、その土地を歩きながら、その土地ならではの食を楽しみ、歴史や文化を知る旅で、ここに日本が世界に誇るONSENがプラスされています。今回は晩秋の稚内を歩き、日本最北の温泉を楽しみます。

モニターツアーも用意されていますので、ご興味のある方にはご案内させていただきますので、気軽にメールでご連絡ください(y.izu@hps‐co.jp)。

新しい旅の形、ボーダーツーリズム。対馬 ⇔ 釜山の高速船、台湾基隆 ⇔ 石垣島のスタークルーズ、鳥取県境港 ⇔ 韓国東海・ウラジオストックのフェリーなどなどには、欧米からの観光客がたくさん乗っています。

欧米の旅慣れた観光客からは東アジアは1つの観光圏に見えているのでしょう。ボーダーツーリズムが成立する前提条件は紛争などがなく平和であることです。 それを基本として、日本の国境・境界地域と隣国を広域な観光圏として活性化していく活動を微力ながら続けて行きたいと考えています。。エンドマーク

いずよしひと ディレクトフォース会員(1063)
元全日空商事 現ボーダーツーリズム推進協議会(JBTA)

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