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一般社団法人 ディレクトフォース

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2020/12/01(No.330)

映画から歴史を学ぶ ーー 中国近現代史

 

石毛 謙一

筆者

21あるDF同好会のうち映画同好会に入会させて頂いたのが4年前、最初の鑑賞作品が〈シンドラーのリスト〉でした(1993年公開、スティーヴン・スピルバーグ監督、オスカーシンドラーの命のリスト)。この映画をきっかけに、人それぞれの鑑賞方法があることに気が付き、再度ナチスドイツの黒い歴史を考えされられました。

私の場合は、表題の通りに映画を見ている事が、意外に多い。歴史を学ぶ方法は、体験、体験談、授業、年表、小説、映画となるが、体験や映像情報が、一番強烈な学びになります。特に、歴史のジャンルは限定していないが、強烈な自己体験があった中国の近現代史を、今回は振り返ってみたい。習近平政権の今後を占う意味でも検討の価値があると思います。年表(「中国近現代史年表」)を参考用に作成し、小説(映像化期待有)と映画が描いた時代を検証する事とします。自己体験は、文化大革命によるリンチ傷痕、下放生活談、高学歴者に対する処遇等になりますが、文革評価は、未だ現政権批判に繋がると思われており、小説や映画も含め非常に少ない。但し、少ない中で発表された映画、小説は、インパクトが非常に大きいと思います。

1984年8月に初めて、香港中国を訪問しました。550KV電力用開閉機器の国産化事業です。壮大な電力網を建設する為、一番重要な機器の国産化(5年間で100%)が国家命令でした。技術移転先は、西安機械電力公司。競合は、シーメンス、日立。約1年後、何故か、三菱電機が受注しました(5年間で、国産化は無理と断ったにも拘わらず)。工場の方々との交流の中で、文化大革命の悲惨さを見てしまいました。1970年代の日本のマスコミの賛美とは、全く異なる情景であり、空想的な論調に怒りを覚えました。その後、上海宝山製鉄の建設工事で、新日本製鉄の方々とも仕事をしましたが、1990年代の為か、文革の件は、話題になりませんでした。

シンドラーのリスト 慕情 ラストエンペラー

(左から)「シンドラーのリスト」「慕情」「ラストエンペラー

1955年公開米国制作〈慕情〉は、ベルギー人と中国人の血を引くハン・スーインの自伝をもとに映画化されたもの。甘美な音楽は、あまりにも有名ですが、単なる悲恋物語とみるべきではない。舞台は、1949年英国領香港から始まる。ハン・スーイン(ジェニファージョーンズ)は、国民党の将軍の妻だったが、夫は共産軍との戦いで戦死。女医として、内戦難民相手に激務をこなす。米人記者(ウィリアム・ホールデン)と恋に落ちるが、彼は、朝鮮戦争取材時に戦死。途中一族に会いに重慶を訪問するが、二人の未来は中国にはないと形見を渡される。歴史的ポイントは、1946年に始まる国共第2次内戦、1949年中華人民共和国成立、1950年朝鮮戦争勃発、1952年休戦協定。そして、この間の英国植民地香港の置かれた立場が描かれています。アカデミー賞歌曲賞受賞。


(YouTubeより転載。サイトが閉鎖された場合は視聴不可となります)

1988年公開伊英中国仏米合作〈ラストエンペラー〉は、愛新覚羅溥儀の生涯を描く。原作は、溥儀の〈我が半生〉。清朝12代にして、最後の皇帝。1906年北京生、1967年死去。歴史的ポイントは、1911年清朝滅亡、中華民国成立、軍閥混戦。1932年満州国成立。皇帝溥儀。1945年日本降伏、東京裁判、ソ連抑留、撫順収容所。本来戦犯で死刑になるところを、ソ連に拘束され、逆に命は救われた(中国によるスターリン大粛清批判か)。収容所での模範的な態度の為か、文化大革命では、一市民として遇される不思議さがある(周恩来の保護政策有か)。溥儀(ジョンローン)は、1924年の北京政変まで紫禁城に住まうが、その時の家庭教師(レジナルドジョンストーン役)にピーターオトゥールが何故か投入されている。壮大な紫禁城の撮影は、中国政府の全面的な協力があったとの事。アカデミー賞9部門を受賞する程、評価が高い。

シンドラーのリスト

大地の子〉、山崎豊子の小説。8年かかり、1991年出版。胡耀邦国家主席のバックアップを幸いにも得た為、作品完成。TV映画は、日中合作で、4年かけ1995年放映。全7回で10時間50分の大作。中国側からは、内政問題ではなく、父と子の物語であることを条件付けられた。歴史的ポイントは、中国残留孤児、文化大革命、上海宝山鋼鉄建設。文化庁芸術作品賞、モンテカルロ国際テレビ賞最優秀作品賞受賞。

ワイルドスワン〉1991年初版。日本語訳は、1993年になる。中国人女性作家ユンチアンの自伝。全世界で1000万部を超えるベストセラー。但し、中国では発禁処分。
祖母、母、自分自身の三代記。祖母は、1924年、15歳で軍閥将軍の妾になる。母は、満州国で生まれ、共産党で昇進するも、反右派闘争で処分され、また復権。自身は、14歳で紅衛兵を体験後、農民として働く。多くの職業を経て、四川大学講師となる。1978年英国留学。
歴史的なポイントは、1924年から1978年までとなり、文化大革命の終焉までの物語。年表上のすべてに関連する。満州国への批判、文化大革命のいたましさ、毛沢東への批判を記す。

シンドラーのリスト シンドラーのリスト

中国の赤い星〉1937年初版。エドガー・スノー著 中国共産党の長征直後のルポルタージュ。特に、毛沢東に関する記事は、本人も少年青年時代を語らなかった為、一級の資料になっている。当時の欧米の中国共産党に対する理解と共感に溢れている。日本に対しては、日中戦争中の為、厳しく批判をしている。

以上、中国近現代史を理解する為の重要な映画と小説を少し紹介してきました。ピーター・オトゥール主演の〈アラビアのロレンス〉(1962年公開、1988年再編集)も、現代の中東の混乱を暗示している映画になっています。歴史に置き去りにされる事もなく、絶えず現在に影響を与え続けるものこそ、これらは傑作映画と言えると思います。
中国の歴史は、立場によって、時代で共感と否定が感じられると思いますが、真に歴史を学び、現在の習近平時代の将来を想定して、隣人として対処していくべきと思います。小説や映像が自由に発表出来る体制を大切にしていきたいと改めて思う日々です。エンドマーク

いしげ けんいち(1126)技術部会 環境部会 映画同好会 ワイン同好会
元三菱電機 現兼松コミュニケーションズ

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