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一般社団法人 ディレクトフォース

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DFの研鑽支援活動

2019年11月16日

見出し定期例会(総会・講演・交流会)

 

見出し DF勉強会(2019年)

2019年11月16日 更新

目 次

開催日 タイトル 講師
10月11日(金) シリーズ「イエスとは誰か」
第1回 「イエスは実在したのか ーー 魔術使いか」
秋山 哲 氏

2019年11月1日 (掲載)

シリーズ「イエスとは誰か」

第1回 「イエスは実在したのか ーー 魔術使いか」

新しい勉強会「イエスとは誰か」が始まりました。

2016年秋から行われた「一神教のもつれた糸はほぐせるか」、また、それを受けて2017年秋にスタートした「神と人間はどのように関わってきたか」という一神教に関するレクチャーの第3回目シリーズです。その第1回の概要は以下の通りでした。

  • 開催日時:10月11日(金)15:00から17:00まで
  • 開催場所:760会議室
  • 講師:秋山哲氏(元毎日新聞常務、元日本イスラエル親善協会会長。DF会員)
  • 参加者:20人

◇ ◇ ◇

講師当日の内容(概要)は以下の通りです。

最初にこの講義のねらいを説明しました。

イエスはキリスト教の信仰対象であり、「完全な神性」と「完全な人性」を併せ持つ唯一神という他に例のない設定になっています。このレクチャーは、分かちがたいとされる神性と人性をあえて区分して、それぞれの側面からイエスを説明しようとするものです。私は単なるキリスト教徒で、公式の神学教育を受けた者ではありませんが、あえてこのテーマに取り組みます。レクチャーは7回を予定し、各回のテーマは以下のとおりです。

  1. イエスは実在したのか ーー 魔術使いか
  2. 宣教したのは最大3年 ーー その地上生活
  3. 近代思想の先駆者 ーー 価値観を転換したイエス
  4. イエスは預言されていたメシアか
  5. イエスの神宣言 ーー 父と私は一つ
  6. ペトロやパウロはイエスをどう理解したか
  7. 激突する教父たち ーー 難産だった三位一体論

第1回は、イエスが実在したかどうか、から話に入りました。キリスト教の経典である新約聖書にはイエスの伝記、言行録といえる4つの福音書があり、それ以外のパウロ書簡などにもイエスに関する情報がたくさん掲載されているが、新約聖書を除くとイエスに関する記録は極めて少ない。

ローマの歴史家タキトウスが書いたローマ帝国の歴史書『年代記』には、ネロ皇帝によるローマの大火に関連して「キリスト信者」が大量に殺害されたことが書かれている。またヨセフスの『ユダヤ戦記』には、イエスという賢人が奇蹟を行い、十字架刑に処せられたことが記載されている。ユダヤ教の口伝戒律をまとめたタルムードには「イェシュという人物が魔術を行い、民衆を錯乱させ、十字架にかけられた」という記事がある。

イエス実在の傍証はこのように多くはないが、イエスが実在しなかった、という仮説を立てると、新約聖書に記録されている高度な宗教思想、社会思想をだれが唱えたのか、なぜその人物が歴史の中に影を残していないのか、という面倒な疑問が生じる。

では、イエスが現れたころのユダヤ地方の状況はどうだったか。

アレクサンダーによる征服によってユダヤ地方にヘレニズム文化が持ち込まれ、その後を襲ったローマ帝国もユダヤ文化と相いれない偶像崇拝を持ち込んだ。この間、ユダヤ民族は圧迫されながら、神がいつの日か現れてユダヤを救われるに違いない、という強い希望を持つに至っていた。特に西暦紀元の少し前から、ローマに対するいくつもの反乱がおこり、この地方は騒乱状態といってもよい状況にあった。

そのタイミングでイエスが生まれる。イエスは西暦紀元の4年ほど前に生まれ、西暦20年代の後半に十字架刑にかけられたと考えられる。

イエスの誕生物語はよく知られているが、4つの福音書はそれらの物語を同じように書いているか、といえばそうではなくて、ばらばらである。また、イエスの幼年期の情報はほとんどない。ヨセフというナザレ(ガリラヤ湖の近く)の大工ヨセフがイエスの父という役割で、イエスは大工仕事を手伝って成人したと見られている。

イエスが宗教人として活動を開始するまえに、洗礼者ヨハネという人物によって、ヨルダン川で洗礼を授けられる。その後、イエスも従う人たちに洗礼を行うが、ユダヤ教には洗礼というものがない。ここからユダヤ教とキリスト教の分化が始まる。

イエスは弟子を集め始めるが、弟子になる者には、家族、肉親との関係を立ち、財産を捨て、無条件でイエスに従うことを求める。弟子になった者たちも、イエスの一言によって、すべてを投げうってイエスに従うようになる。

イエスは、病を癒し、身体障碍を取り去るという医療行為によって名声を博し、広い地域から大勢の信徒を獲得していく。イエスの行った奇跡は、死人をよみがえらせることをはじめ、新約聖書に満載である。水をぶどう酒に変える、わずかなパンで5千人もの群衆を満腹させる、水上歩行など、さまざまな奇蹟を行った。タルムードが「魔術」と書くのも無理がないほどである。これら奇蹟をどう考えるかは、イエスの神性について説明するところで話す予定である。次回は、イエスの地上生活の後半を話しする。

◇ ◇ ◇

次回予定
 ・開催日時:11月25日(月)15:00から17:00まで
 ・場  所:760会議室

以上 
(秋山哲)

(編集註:本稿は秋山講師ご自身が記述されました)

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